2018年6月2日土曜日

幽霊文字

幽霊文字ゆうれいもじ
ghost characters
幽霊漢字ゆうれいかんじ
幽霊字ゆうれいじ

標準コード用漢字表(試案): 情報処理学会漢字コード委員会(1971年)
国土行政区画総覧: 国土地理協会(1972年)
日本生命収容人名漢字: 日本生命(1973年)、現存しない
行政情報処理用基本漢字: 行政管理庁(1975年)

【外部リンク】
http://www.asahi.com/special/kotoba/archive2015/moji/2011082400019.html
大正十二年の幽霊文字

【外部リンク】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E6%96%87%E5%AD%97
文字 区点 典拠 偶然に一致した(暗合)例
52-55 対応分析結果になし(典拠不明)。 『集韻』鈔本にあるが誤写か
52-63 対応分析結果になし(典拠不明)。「㕓」の誤写か。 『倭玉篇』にあり
54-12 国土行政区画総覧典拠とあるが発見できず。「𡚴」の誤認か。 『字鏡集』などにあるが誤写か
55-27 対応分析結果になし(典拠不明)。「彊」などの誤写か。 同定不能
57-43 国土行政区画総覧典拠とあるが発見できず。「栩」の誤写か。 『中華字海』などにあり
58-83 国土行政区画総覧典拠とあるが発見できず。「杲」などの誤写か。 『法華三大部難字記』にあり
59-91 国土行政区画総覧典拠とあるが発見できず。「橳」の誤写か。 『一切経音義 (玄応)』にあり
60-57 国土行政区画総覧典拠とあるが発見できず。「橦」の誤写か。 『宋元以来俗字譜』などにあり
74-12 行政情報処理用基本漢字典拠(明治生命保険
相互会社漢字コード表)とあるが用例なし。 『新撰字鏡』にあり
74-57 国土行政区画総覧典拠とあるが発見できず。「祢」の誤写か。 『新撰字鏡』『類聚名義抄』などにあり
79-64 国土行政区画総覧典拠とあるが発見できず。「閏」の誤字か。 宋版『広韻』の一部にあるが誤写か
81-50 日本生命人名表典拠とあるが原典不在。 『類聚名義抄』にあり
典拠資料に存在しながら規格収録されなかった文字を誤写した可能性があるもの
「壥」は、対応分析結果に含まれている「㕓」がJIS基本漢字に未収録となっているため、これを誤った字体で登録した可能性がある[4]。「㕓」はJIS X 0213にも収録されていない。
「妛」は、滋賀県犬上郡多賀町河内にある「𡚴原」(あけんばら)の「𡚴」(「山女(あけび)」の合字)がJIS基本漢字に未収録となっているため、これを誤った字体で登録した可能性がある。典拠である国土行政区画総覧において、異なる文字の一部を切って貼り合わせることで作字していたため、切れ目の影を横画と見誤って転記したものと推測されている[4][5]。「𡚴」はJIS X 0213に収録された。
「椦」は、群馬県前橋市にある「橳島」(ぬでしま)[6]の「橳」(植物のヌルデの別名カチノキの合字)がJIS基本漢字に未収録となっているため、これを誤った字体で登録した可能性がある[4]。「橳」はJIS X 0213に収録された。
典拠が判明したもの
JIS X 0208:1997では、典拠の明らかになった文字のうち、諸橋『大漢和辞典』、角川『新字源』の両方に掲載されていないものを中心に72文字[7]の典拠詳細をまとめている。 下表にその一部を例示した。

文字 区点 典拠・用例
52-18 国土行政区画総覧に用例あり。藤垈(ふじぬた)・相垈(あいぬた)・大垈(おんた)/山梨県
52-21 国土行政区画総覧に用例あり。垉六(ほうろく)/愛知県
54-19 国土行政区画総覧に用例あるが現存せず。
広岾町(ひろやまちょう)→広帖町(こうちょうちょう)/京都府
55-78 日本生命人名表典拠。NTT電話帳に人名用例あり。
60-81 日本地名大辞典に用例あり。石橸(いしだる)/静岡県
61-73 国土行政区画総覧に用例あるが原典誤字か。汢の川→ぬた.pngの川(ぬたのかわ)[8]/高知県
66-83 日本生命人名表典拠。NTT電話帳に人名用例あり。
67-46 国土行政区画総覧に用例あるが原典誤字か。穃原→榕原(ようばる)/沖縄県
68-68 国土行政区画総覧に用例あり。粐蒔沢(ぬかまきざわ)[9]/秋田県
68-70 国土行政区画総覧に用例あり。粭島(すくもじま)/山口県
68-72 国土行政区画総覧に用例あるが原典誤字か。粫田(うるちだ)→糯田(もちだ)/福島県
68-84 国土行政区画総覧に用例あり。糘尻(すくもじり)/広島県
71-19 国土行政区画総覧に用例あり。膤割(ゆきわり)/熊本県
77-32 国土行政区画総覧に用例あるが現存せず。軅飛(たかとぶ)→鷹飛(たかとび)/福島県
78-93 国土行政区画総覧に用例あり。小鍄(こがすがい)/山形県
82-94 国土行政区画総覧に用例あるが原典誤字か。鵈沢→鵃沢(みさごさわ)/福島県
文字用例が確認された地名の例
橸 - 石橸(いしだる)
静岡県静岡市葵区井川。当地の役所の資料で確認できる[10]。この地名は同地に現存している[11]。
軅 - 軅飛(たかとぶ)
福島県白河市白坂。現在は「鷹飛(たかとび)」に変更されている[10]。
垈 - 相垈(あいぬた)
山梨県韮崎市藤井町。交差点、およびバス停の名称として確認できる[12]。
辞書での扱い
規格制定以降、辞書編纂の方針としてJIS基本漢字を全掲載することが前提となった字書類が出版されている。JIS基本漢字に収録された幽霊文字については、過去の出典を参照することができないため、その取り扱いは字書や個別の文字によって以下のように異なった。

読みを便宜的に割り当てる
JIS基本漢字を実装した情報機器では、幽霊文字といえども実装されている以上は変換してその文字が出てこないというのは具合が悪く、便宜的に形声文字として解釈した「音読み」を割り当てることがある[13]。これに倣い、辞書でもこれらの便宜的な読みを掲載するものもある。彁=カ・セイ、椦=ケンなど。笹原宏之は、日本電子工業振興協会による調査報告(1982年)や、NEC(1982年)・日本IBM(1983年)の発行資料に基づいてこれらの読みが与えられた可能性を指摘している[14]。
似た文字の異体字とする
「駲」を「馴」の異体字[15]、「軅」を「軈」の異体字[16]とするものがある。しかし、いずれも典拠を示したものがない。
「妛」は大漢和辞典・康熙字典に非常に似た文字「妛」(上部の「山」が「屮」となるもの)が収録されており、その異体字とするものがあった[17]。これはJIS X 0208:1997での調査でも典拠つきで暗合例が紹介されている。また、Unicodeでもこれら2文字は同一コードポイントに統合されている(cf. #幽霊文字が残されている理由)。
暗合した別の文字として解説する
「槞」を「櫳」の異体字、「鵈」を「とび」の意の国字として解説するものがある。これらはJIS X 0208:1997での調査でも典拠つきで暗合例が紹介されているものである。規格の収録意図とは異なる可能性が高いが、このような扱いは幽霊文字に限らず、収録文字の解説に汎用性を持たせるために行われる。
幽霊文字として解説する
前述の調査結果から幽霊文字であることが判明してからは、読みや意義が不明であることをありのままに記述するものが一般的である。
幽霊文字が残されている理由
Unicodeで他国規格収録文字と統合された例
Unicode 1.1 U+5788 U+599B U+5CBE
JIS X 0208-1990(日本)
(52区18点)
(54区12点)
(54区19点)
CNS 11643-1992(台湾) -
(3面2553) -
KS C 5601-1987(韓国)
(535C) -
(6F40)
笹原宏之らによって幽霊文字の調査は行われたが、これはJIS X 0208の第四次規格(1997年)改正の一環であった。第二次規格(1983年)のいわゆる「83JIS改正」では、区点の入替えを主とする非互換の改変がされたために大きな混乱を招いた過去があり、それを再び起こすわけにはいかなかった。

また、Unicodeとの互換性を維持する必要もあった。調査時点において1993年制定のUnicode 1.1には既にJIS基本漢字がすべて収録されており、この時期になっての変更は、単に国内だけの問題に留まるものではなかった。またUnicodeでは、source separation rule(原規格分離規則、例えばJIS X 0208で別々に収録されいてるものは分離を維持する)という原則のいっぽう、CJK統合漢字ではその規則に反しない範囲で包摂(en:Han unification、包摂 (文字コード) の記事も参照)を行うという複雑な経緯を経て、またそれ以降においても、Unicode収録文字に基づいて中国GB 16500-1995・台湾CNS 11643-2004などといった他国内規格が追加拡張を行っており、これら規格内にも幽霊文字が含まれている。以上のような把握の不可能な複雑さから、変更という形での対処は事実上不可能であった、と言えよう。

結果として、幽霊文字はいまなおJIS基本漢字やUnicodeに残され、フォントさえ用意すれば世界中の情報機器で利用可能となっている。

使用例
幽霊文字は元来典拠不明であり過去の用例が発見されていないものであるが、規格制定以降はその普及に伴い幽霊文字の用例が現れている。

規格に収録されていることで幽霊文字と似た形の漢字が誤用を誘発しやすく、代表的な例に「祢宜」「栩谷」を「袮宜」「挧谷」などと誤用する例が散見する[18]。また、丹羽基二の著書では幽霊文字「妛」を用いた「妛芸凡(あきおうし)」という苗字を出典なしに掲載している[19]が、これも「𡚴」または「安」の誤植の可能性が高い[20]。笹原宏之はこうした誤用例を「幽霊用法」と呼び、曖昧な用例の不用意な引用により情報が独り歩きすることについて注意喚起している。

誤字の可能性が高いもののうち、本来の文字がJIS X 0208に収録されなかったものは、幽霊文字をその代用とする用例がある(cf. 「𡚴原」→「妛原」、「橳島」→「椦島」)。規格上はこれらも誤用の範疇であるが、JIS X 0213では異なる区点位置で本来の文字が登録されたため、JIS X 0213の普及に伴ってこうした用例は少なくなっていくものと予想される。

そのほか個別のものでは、検証可能性の高い用例として以下のものがある。

挧 - 道士・嘉挧(どうし・かく)
1993年東映制作『五星戦隊ダイレンジャー』に登場する架空の人物名。名前は賈詡からとられているが、テロップや雑誌では『挧』と表示されており公式表記である。当時は既にパソコン用のワープロソフトが普及していた時代であり、収録文字を利用して選定したか誤植をそのまま公式にしたものと思われる。
蟐 - 蟐蛾ノ瀬戸航路(じょうがのせとこうろ)
長崎県壱岐市沖合から出ている航路の一つ。沖合に位置する「嫦娥島」の別表記として「蟐蛾島」が見られる[21]。
岾 - 大岾(おおはけ)
埼玉県所沢市南永井の小字[21]。「岾」はもともと京都市左京区浄土寺広岾町(ひろやまちょう)を用例として採用されたものだが地名としては現存しておらず、暗合用例である「はけ」として使用される。
なお、実用例ではないが、幽霊文字紹介としての利用が多々ある。本記事もその一例であるが、幽霊文字について解説する以上、具体例としてそのうちの何文字かを挙げる必要があるため、規格制定以前に用例が見つかっていない幽霊文字にとっては、必然的にこれが主な用途となっている。











埼玉自彊会

埼玉自彁会

妛 意味

使 われ ない 漢字

日本 で 使 われ ない 漢字

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